金の価格が上がったニュースを見かけると、貴金属に興味を持つ方もいるでしょう。しかし、貴金属には多数の種類があり、何を選んでいいか迷うことがあります。この記事では、貴金属の基本的な概要や、種類別の特徴をわかりやすく解説します。貴金属購入後の保管方法や買取店の選び方のコツも紹介していますので、この記事を通じて貴金属の基礎知識を身につけましょう。
貴金属とは

貴金属とは、「貴重な金属」のことです。貴重とは、産出量が少ないことを意味します。
貴金属に分類されるものは、合計で8種類あります。金・銀・パラジウム・プラチナ・ロジウム・イリジウム・ルテニウム・オスミウムです。
金・銀・プラチナなどはジュエリーの素材として使うことが多いため、名前を聞いたことがあるかもしれません。貴金属を使ったジュエリー自体は貴金属に分類されませんが、貴金属を多く使ったものは貴金属として取引や買取されることがあります。また、貴金属は電子部品などにも使われているのが特徴です。
貴金属は、加工しやすく、安定しているという特徴もあります。安定しているとは、具体的には酸やアルカリに反応せず、化学変化が起きにくいことです。そのため、酸化しやすく錆びやすい鉄は、貴金属には含まれていません。さらに、銅は産出量が多い点で貴金属の条件に当てはまりません。
貴金属の種類

貴金属に分類される8種類の具体的な特徴や使用例を紹介します。
金
黄金色に輝く特徴からジュエリーとしての価値が高く、資産としても用いられています。純金のままだと柔らかく、耐久性が落ちるため、他の成分と混ぜる使い方が一般的です。混ぜ合わせる素材の違いによって色が変わり、ピンクゴールド・ホワイトゴールド・イエローゴールドといった色合いがあります。
銀
銀は、貴金属の中で特に熱や電気伝導率が高い点が特徴です。シルバージュエリーや銀食器、さらには工業用にも使われています。酸化しにくい特徴がありますが、空気中の硫黄化合物に反応しやすく、黒っぽくなります。
パラジウム
パラジウムは、電子部品、自動車の触媒、銀歯、ジュエリーの割金として使われています。溶けやすく加工しやすいのが特徴で、柔軟性に優れ、プラチナより軽い貴金属です。
プラチナ
プラチナは非常に希少で、地球上に約16,000トンしか存在しないとされています。金の埋蔵量が約54,000トンであるため、希少性ではプラチナのほうが上です。プラチナは融点が高く、高温で溶かさなければならないため、高い加工技術が求められます。さらに、酸やアルカリに強く、変色しにくい特徴から、結婚指輪の素材としても人気です。
ロジウム
ロジウムは、プラチナと同様に白色をした貴金属です。光反射が高くジュエリーに使われますが、単体での製造が難しいため、メッキ素材として用いられています。
イリジウム
イリジウムは、腐食しにくく、硬度が高い貴金属です。耐性が高いため電気製品に用いられるほか、ジュエリーではプラチナと一緒に使われることがあります。
ルテニウム
ルテニウムは、プラチナの副産物として回収される貴金属であり、プラチナ同様に貴重です。高温や高圧にも耐えられる特徴から、電子部品などに使われています。
オスミウム
オスミウムは比重が大きく、硬度や沸点が高い特徴があります。粉末状のオスミウムは酸素と反応して気化し有害な物質となるため、取り扱いに注意が必要です。割金としての使用が多く、時計の部品や万年筆のペン先に用いられています。
取引されやすい貴金属

貴金属の中でも取引されやすいものと、買取に向かないものがあります。売買取引を考えている場合は、取引しやすい以下の貴金属を選ぶことをおすすめします。
取引されやすいもの
金、銀、白金(プラチナ)、パラジウムは、取引量が多いという特徴があります。どれも貴金属に分類されるため希少性は高くなりますが、世界中の市場で売買が活発に行われており、購入や売却が容易です。希少性が高く高価な貴金属は高値で取引される可能性がありますが、買い手が見つからなければ売却は困難になります。特に、金は有事に強い資産としても人気です。世界情勢が不安定になると株式や通貨の価値が下落することがありますが、金は値崩れしにくく、資産形成として投資家から注目されています。
買取に向かないもの
一方で、取引量が少ない、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウムは買取には向きません。これらは産出量が少なすぎるため、入手の難しさが逆にデメリットとなっています。
貴金属の保管方法

貴金属は酸化しにくい特徴がありますが、種類によっては取り扱いに注意が必要です。長期保管する際には、以下の点に注意し品質を保つようにしましょう。
1つずつ個別に保管する
貴金属同士が触れた際に傷が付くことがあるため、個別の保管が推奨されます。専用ケースがあれば、金属同士がぶつかり合うことがありません。ケースがないときは、ビニール袋に1つずつ入れて保管しても問題ありません。貴金属を使用したアクセサリー類は、体から外した後に汚れを軽く拭き取り、個別に保管するようにします。皮脂や汗がついたままにすると変色の原因となるため、汚れがひどいときは中性洗剤を薄めて5分ほど浸し、しっかり乾燥させてから保管しましょう。1つずつ保管すると、ネックレスのチェーンなどが絡まず、金属同士がぶつかって傷が付くのを防げます。
変色した場合の対処法
特にシルバーアクセサリーは、空気中の硫黄成分と反応して黒ずむことがあります。シルバー専用のクロスやクリーナーを使って落とすか、重曹や歯磨き粉の研磨材で磨く方法がおすすめです。また、金やプラチナの中でも、18金やPt900は変色することがあります。変色したら、中性洗剤を薄めたもので洗うか、クリーナーで拭き取ることができます。ただし、柔らかく傷が付きやすいため、力を入れて擦らないように注意してください。
盗難や紛失に注意する
高価な貴金属の保管は、盗難防止のため金庫を活用しましょう。ただし、金庫に入れても万全とはいえないので、高価な貴金属には保険の加入も検討してください。
貴金属の買取業者の選び方

貴金属の価値が高くなってきたときや、現金化したいときは売却しましょう。買取業者の選び方に迷ったら、以下のポイントで比較することをおすすめします。
実績があるかどうか
貴金属を売るなら、信頼できる買取店を利用することが最も重要です。その理由は、貴金属の価値を正しく査定してくれる業者を選ぶことが重要だからです。買取業者の実績の高さは、店舗数の多さで判断できます。全国展開している買取店は、それだけ多くの人に選ばれている実績があるため、実績の高さでおすすめです。
手数料が安いか
高値で売るためには複数の買取店に査定を依頼するのがおすすめですが、数店舗で査定してもらうなら手数料が安いほうがいいでしょう。無料査定が可能な店舗なら、安心して査定を依頼できます。また、査定後に買取をキャンセルしても費用がかからないか、事前に確認しましょう。
口コミが良いか
複数の買取店の中からどこを選べばいいか迷ったら、口コミを参考にしましょう。口コミをチェックする際は、買取価格が高かったという評価だけでなく、従業員が親身に相談に対応してくれたかどうかもチェックしましょう。
信頼できる貴金属買取業者を選びましょう

資産形成の一部として貴金属をみると、売却を考える時期がいつか訪れるでしょう。世界情勢が悪化したときや、円安の時期は高値で売却できる可能性が高まるため、売却を検討してみるとよいでしょう。貴金属の売却は、信頼できる買取業者を選ぶようにしてください。
