メディカルちゃん
先週姪っ子が熱出して、風邪だと思ってたらなんと川崎病だったよ！
へー！川崎病ってどんな病気？地名の川崎と関係あるのかな？
友達
男性医師
「川崎病」の「川崎」とは、地名ではありません。発見者の川崎富作医師の名前から名付けられました。
そうなんだ！川崎病ってどんな病気なんですか？先生、教えてください！
メディカルちゃん
男性医師
わかりました。今回は、乳幼児に多い川崎病について解説します。
もくじ
川崎病とは？
男性医師
川崎病とは、全身の血管に炎症が起きる病気で、４歳以下の乳幼児に多く発症します。「第22回川崎病全国調査成績」によれば、2012年の川崎病の総患者のうち88％は4歳以下の乳幼児でした。
川崎病は、日本人など東アジア系の人種で多くみられます。
男性医師
友達
発見したお医者さんも日本人ですね！
川崎病にかかり、心臓を栄養する血管である冠動脈にこぶ（動脈瘤）ができると、将来的に血管が狭くなったり、血栓（血のかたまり）で冠動脈が詰まったりし、狭心症や心筋梗塞を起こすリスクが高くなります。
男性医師
男性医師
特に、8mm以上の大きな冠動脈瘤が残っていると、心筋梗塞の予防のために、血液が固まりにくくなる薬を長期に飲み続けることが多いです。
ずっと薬を飲み続けないといけないなんてかわいそう。
メディカルちゃん
川崎病の原因
男性医師
細菌やウイルスの感染、環境物質による刺激などが原因と考えられていますが、今のところはっきりとしたことはわかっていません。
まだ原因は不明なんですね。
メディカルちゃん
友達
細川崎病にはどんな症状がありますか？
高熱やいちご舌など、以下のような症状があります。
男性医師
川崎病の症状
- 唇やのどが赤くなる。舌がいちごのようにぶつぶつと赤くなり（いちご舌）、ひどくなると割れて出血する
- 両方のしろめや内まぶたが充血する（めやには出ない）
- 高熱が続く
- 全身にいろいろな形の赤い発疹が現れる
- 首のリンパ腺が腫れる
- 手のひらや足の裏が赤くしもやけのように腫れ、しばらくたつと皮がむける
手
川崎病の検査方法
男性医師
まずは、問診や視診、聴診などが行われます。その後、心エコー検査や心電図検査、血液検査、胸部X線写真検査などの検査をします。
これらの検査は、川崎病の合併症の有無、別の病気の確認などのために行います。冠動脈瘤が残った場合、心電図検査、心臓CT検査、心臓カテーテル検査を行います。
男性医師
川崎病の治療法
男性医師
川崎病の治療の最大の目的は、血管の炎症をできるだけ早い段階で抑え、冠動脈瘤ができることを予防することです。
冠動脈瘤がこわいんですね！
友達
男性医師
通常1〜2週間入院して、点滴と服薬による治療をします。冠動脈瘤ができてしまった場合は、引き続き、血栓（血のかたまり）をできにくくしたり、溶かしたりする治療なども行います。
一般的には、免疫グロブリンとアスピリンなどの、炎症を抑える薬を同時に投与します。とくに、できるだけ早い段階で、免疫グロブリン投与を大量に行うことで、８割の方は症状が治まります。
男性医師
男性医師
症状が発症して10日以内に抑えられれば、おおむね後遺症が残ることは低いとされております。
早い段階で診察ができて、適切な治療ができたら後遺症リスクは減らせるんですね！
メディカルちゃん
※免疫グロブリンは、ヒト血清から作製した血液製剤で、ほとんど副作用がないといわれています。全身の炎症を鎮める目的で使用します。発症早期に使用することで、冠動脈瘤ができるのを抑える作用があります。
※アスピリンは、血管の炎症を抑える薬です。
男性医師
上記を行っても改善されない場合には、冠動脈瘤ができるリスクが高くなるため、ステロイドや血漿交換など必要に応じた追加の治療を行います。
追加の治療はどんな内容ですか？
友達
男性医師
川崎病になってから数週間は血液がかたまりやすくなっています。そのため、血栓予防としてアスピリンを内服します。通常1〜2ヶ月内服します。冠動脈瘤の後遺症がなければ内服を中止します。
大きな冠動脈瘤が残った場合には、血栓を強く抑えるワルファリンを内服します。効果には個人差があるため、血液検査で薬の効きを確認しながら内服する量を調節します。
男性医師
男性医師
血栓ができたり、血流が十分でなかったりする場合には、血栓を溶かす治療や、冠動脈の滞りをなくす手術をします。
川崎病の予防法
男性医師
川崎病は乳幼児に後発する疾患です。大人で発症するのは稀です。
川崎病になりやすい遺伝的素因をもった人がウイルスなどの感染性微生物に感染することで異常な免疫反応が惹起されるものと考えられています。
男性医師
男性医師
また、川崎病を放置すると、後遺症が残るリスクがあります。
まとめ
メディカルちゃん
川崎病について解説いただきありがとうございました。
風邪と症状が似ているので、見逃しがちだけど、後遺症が残るリスクもあるなんて・・・特徴的な症状がある場合は、すぐお医者さんに相談ですね。
友達
男性医師
もしも周りのお子さんなど、川崎病の疑いがあるのであれば、自力でなんとかしようとせず、早い段階で医療機関を受診して治療を受けましょう。
＜参考文献・URL＞
国立成育医療研究センター 川崎病
https://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/030.html
Mindsガイドラインライブラリ 川崎病 Minds版やさしい解説
https://minds.jcqhc.or.jp/n/pub/3/pub0164/G0000756/0006
Mindsガイドラインライブラリ 川崎病 Minds版やさしい解説
https://minds.jcqhc.or.jp/n/pub/3/pub0164/G0000756/0007
MSDマニュアル家庭版 川崎病
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/23-小児の健康上の問題/乳児と幼児における健康上の問題/川崎病
監修者
- 公益社団法人 日本小児科学会 小児科専門医
-
2002年 慶應義塾大学医学部を卒業
2002年 慶應義塾大学病院 にて小児科研修
2004年 立川共済病院勤務
2005年 平塚共済病院小児科医長として勤務
2010年 北里大学北里研究所病原微生物分子疫学教室勤務
2012年 横浜市内のクリニックの副院長として勤務
2017年 「なごみクリニック」の院長として勤務
2020年 「高座渋谷つばさクリニック」院長就任
最新の投稿
健康・病気2023.03.30日本人医師が発見！４歳以下の乳幼児に多い川崎病一体どんな病気？
