・血糖値スパイク
・食後低血圧
が疑われます。
管理栄養士の望月先生、本日も解説をお願いします！
まあいいかバッチ目が覚めたし…
もくじ
血糖値スパイクとは？
■血糖値スパイクの原因
食事をした後は、健康な人でも糖尿病の人でも血糖値が上がります。
血糖値が上がると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されて、血糖値を下げます。
何らかの理由で食後の血糖値が急激に上がった場合、インスリンが大量に分泌されることになります。
すると、急激に血糖値が下がり、低血糖状態になるため、強い眠気やだるさを引き起こします。
血糖値スパイクが起こる原因として多いのが、食事の食べ過ぎや早食いです。
また、睡眠不足やストレスによっても、血糖値が上がりやすくなるため、血糖値スパイクを起こすリスクを高めるといわれています。
■血糖値スパイクの症状
強い眠気やだるさ、吐き気、動悸、手が震える、疲労感が強まるなどの症状が現れます。
また、食後にイライラすることが増えるのも、症状の一つです。
■血糖値スパイクの治療法
健康な人でも血糖値スパイクは起こるため、その場合は食べ方を工夫するなどの対策をとります。
はい。一方、糖尿病や糖尿病予備軍の人では、食べ方の工夫や運動をするなどの対策でも良くならない場合には、薬で治療をおこなうことがあります。
食後の高血糖に対しては、「αグルコシダーゼ阻害薬」という種類の薬を使って治療することが多いです。
αグルコシダーゼ阻害薬は、腸内で炭水化物が消化・吸収されるのを抑制することで、急激な血糖値上昇を抑えます。
■血糖値スパイクの予防方法
血糖値スパイクは、以下のような食べ方で防ぐことができます。
・食事は20分以上時間をかけてゆっくり食べる
・よく噛んで食べる
・食物繊維が豊富な野菜類から食べ始める
・食事前に無糖ヨーグルトを食べる
・米は、白米よりも食物繊維が多い玄米や雑穀米にする
・炭水化物に偏った食事を控え、タンパク質や食物繊維を含む食事をする
・夕食は18時、遅くとも20時前に済ませる
・欠食はしない
また、食後1～2時間後に散歩やウォーキングをするなど、軽い運動をおこなうことでも、食後の高血糖を防ぎ、血糖値スパイクを予防することができます。
自律神経の働きによる眠気
■自律神経の働きによる眠気の原因
自律神経には、交感神経と副交感神経の2つがあります。
交感神経は、体を活動モードにさせるもので、運動中や緊張する時、恐怖を感じる時、イライラしている時などに活発に働きます。
一方、副交感神経は休息モードにさせるもので、睡眠中や休息している時に活発に働いています。
このように、2つの自律神経系によって、体さまざまな働きがコントロールされています。
食後は胃腸が動くため、それにより急激に副交感神経が優位になるように切り替わります。
その結果、体はリラックスモードになるため、眠気を生じます。
■自律神経の働きによる眠気の症状
はい。確かに夜しっかり睡眠をとったにも関わらず眠気でたまらないという症状も場合によって現れます。
頭がぼんやりとして、頭が回りにくくなります。
■自律神経の働きによる眠気の治療法
自律神経の働きによる眠気は、病気が原因ではないため、これといった治療法はありません。
食後に眠気をとばす工夫をして、対策することになります。
■自律神経の働きによる眠気の予防方法
食後、猛烈に眠気を感じる場合は、15～20分ほど寝るのがおすすめです。
何時間も寝ると、夜眠れなくなり、夜更かしした結果、日中に眠気を感じることになってしまいます。
仕事の休憩時間などに少し睡眠をとるだけでも、頭をすっきりとさせることができます。
また、カフェインを食後に摂取するのもおすすめです。
脳には、睡眠を促す神経伝達物質の受容体がありますが、カフェインを摂ると、カフェインと受容体が結びつくため、眠気がなくなります。
コーヒーや紅茶、濃い緑茶などにカフェインが含まれているため、食後に1杯程度飲むと良いでしょう。
食後低血圧
■食後低血圧の原因
食べたものを消化するために、食後は腸に大量に血液が集まります。
すると、全身の血圧を維持しなければならないため、通常であれば心拍数が増え、血圧を維持しようとします。
しかし、自律神経がスムーズに働いていない場合や加齢などが原因で、食後に血圧を維持する機能がうまく働かないと、急激に血圧が低下することになります。
その結果、食後のだるさや眠気などの症状を引き起こします。
■食後低血圧の症状
ふらつきやめまい、眠気、だるさなどの症状が現れます。
また、失神したり、転倒することもあります。
食後低血圧の治療法
食後低血圧は、糖尿病や血圧が高い人、自律神経に障害がある人などに多くみられます。
そのため、血圧の薬を服用している場合は、食前に飲まないようにするなど、服薬のタイミングを見直します。
また、食事の食べ方を見直したり、食後に休憩することも大切ですが、それでも良くならない場合には、オクトレオチドと呼ばれる薬を注射して治療をおこなう場合もあります。
食後低血圧の予防方法
脱水を起こすと血圧が下がりやすいため、食後といわず、1日を通して1.5Lほどをこまめに水分を補給することをおすすめします。
また、炭水化物の摂りすぎは、食後低血圧を起こしやすいとされているため、ご飯や麺類、パンなどの炭水化物食品を食べ過ぎないようにしましょう。
食事の後、1時間ほど安静に休憩することも予防になります。
＜参考文献・URL＞
佐藤和人、本間健、小松龍史、『エッセンシャル臨床栄養学第5版』（2009）、医歯薬出版株式会社
厚生労働省：食後高血糖
保健指導リソースガイド：「血糖値スパイク」を抑えるために朝食から対策 食後に血糖値を上げないコツ
https://tokuteikenshin-hokensidou.jp/news/2019/008259.php
全国健康保険協会：2018年6月 北海道薬剤師会 「食後に眠気がでるのはなぜ？」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/hokkaido/cat070/column/20180605/
心臓血管病専門病院 名古屋ハートセンター：自律神経と心臓の関係
https://nagoya.heart-center.or.jp/div04_7_archive/div04_7_170401.html
MSDマニュアル家庭版：食後低血圧
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0/06-%E5%BF%83%E8%87%93%E3%81%A8%E8%A1%80%E7%AE%A1%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97/%E5%BF%83%E8%87%93%E3%81%A8%E8%A1%80%E7%AE%A1%E3%81%AE%E7%97%85%E6%B0%97%E3%81%AE%E7%97%87%E7%8A%B6/%E9%A3%9F%E5%BE%8C%E4%BD%8E%E8%A1%80%E5%9C%A7
オムロンヘルスケア株式会社：vol.94 知っておきたい「食後低血圧」
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/94.html
大正製薬株式会社：食後に血圧が下がる？食後低血圧の原因と症状、治療方法
https://brand.taisho.co.jp/contents/livita/detail_198.html
監修者
- 管理栄養士 健康検定協会理事長
- 株式会社 Luce 代表取締役、健康検定協会理事長、臨床栄養協会評議員。山野美容芸術短期大学や服部栄養専門学校にて栄養学の講師を勤める。また、小田原銀座クリニックの栄養顧問など、栄養学・美容学の分野で活動。その他、テレビや雑誌などを通して日常生活に密着した健康知識・栄養情報を発信中。「痩せる時間に食べてみた」「栄養学の○と×」など著書も多数。
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