靖国神社とは?

靖国神社は、東京都千代田区九段北にある神社で、日本の軍人を主に祭神として祀っています。名前に神社とついていますが、招魂社のため、氏子地域は存在せず、また、全国にある神社や神社本庁に属してもいません。

創建当初は軍務官により、その後に内務省によって人事が所管されていました。祭事は大日本帝国陸軍(陸軍省)と同海軍(海軍省)が祭事を統括していましたが、1946年に東京都知事の認証により、宗教法人法の単立宗教法人になり、今日に至ります。

無料で見物できる「靖国神社の奉納相撲」

靖国神社の特徴的な場所として、相撲場があります。ここは、靖国神社に眠る御霊を慰めるために大相撲を奉納する場所です。神社創立鎮座祭において、初めての奉納相撲が行われて以来、例大祭や臨時大祭の恒例行事として行われています。特に、春の例大祭は豪華で、横綱をはじめ全力士による奉納相撲が執り行われます。見物が無料ということもあって、その日は大きな盛り上がりを見せます。

奉納大相撲には、国技である相撲文化を継承する役割もあり、例祭での奉納大相撲の他、1918年に東京両国の國技館が火災で消失したときには、靖国神社の相撲場を使って本場所が開催されたという歴史もあります。

靖国偕行文庫

靖国偕行文庫は、本殿から向かって右手側にある図書館です。靖国神社御創立130年を記念して1999年10月に開館した施設であり、ここには靖国神社や日本近代史に関する資料、およそ約13万冊が収蔵されています。資料には、戦史、戦記、部隊史、教程、教範類など軍事に関連するものや、英霊の追悼録、回想録等など歴史的、社会学的意味合いの強いものが多く含まれています。館内には20席分の閲覧スペースが設けられており、希望する人は誰でも入館し、図書資料を利用、参照することが許されています。

日本でも有数の名園「神池庭園」

本殿の裏手、靖国神社のもっとも奥まった場所にあるのが、神池庭園です。この庭園が最初に造られたのは、明治初期のことです。1999年に復元工事が施され、あたらめて、全国でもトップクラスの名園であることが再発見された庭園は、回遊式で、計算された滝石組みを見ることができます。

滝石組みとは狭い場所でも、山深い場所から滝水が出ているかのように見せる造園技法の1つで、この池を取り囲む、洗心亭、靖泉亭、行雲亭の3つの茶室とともに、趣のある風景を作り出しています。また、神池庭園に使われている花崗岩の直橋は、日本一の長さであることでも有名です。

靖国神社の境内に建つ母の像

靖国神社の境内には、母の像と呼ばれる、3人の子どもを抱えた女性の像があります。これは、戦後の苦しい時代に耐え忍びながら、子どもを育てていた、当時の女性たちへの敬意と感謝を込めて建てられたものです。像が建てられたのは終戦からおよそ30年後の1974年で、この時期に建てられることになったのは、当時の子ども達が立派に成長し、大人になって奉納したものだからです。

また、母の像の右隣には、当時の世界情勢に流されず、国際法を遵守し、極東国際軍事裁判において全被告無罪の意見書を出したインドの法学者、パール博士の顕彰碑があります。

これらの像は、終戦を迎えても、国民の生活はあらゆる意味で、すぐに元に戻ることはないという事実をも後世に伝えてくれているようです。