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主に乾性油を用いて粉末顔料を練り合わせた絵の具を油絵の具と呼び、この油絵の具を使用して描く絵画技法、あるいは絵画作品を油絵と呼びます。こうした油絵はヨーロッパ各地で広まり、20世紀に至るまで主要な絵画技法として広く使用されてきました。
油絵の具の溶き方や技法によってさまざまな表現が可能で、何層にも厚く塗り重ねて表面に凹凸をつけた油絵もあれば、絵の具を薄く溶いて繊細な線を描く油絵もあります。油絵はリトグラフや版画と違って作家の肉筆で描かれる絵画ですので、そのぶん希少価値が高くなりやすく、買取相場も高額になりやすいです。
代表的な作品や作家には、「観音岩のみえる海(藤原秀一)」「赤いスカーフの裸婦(寺内萬治郎)」などが挙げられます。
水彩画は、水を媒介として描画、彩色する技法、およびその作品のことを指します。短時間で仕上げられるため、油絵や油彩画に比べて買取相場は抑えめになりやすいです。しかし作家の肉筆である点は高く評価されやすく、ネームバリューの高い作家の場合、買取価格にも期待できるでしょう。
水彩画は用紙の耐久性がそれほど高くないため、古い作品の場合は経年劣化が目立つことがあります。変色や破れなどがあると、買取価格が減額になってしまうことも。逆に、保存状態の良い水彩画だと査定の際に減額を避けられるため、買取価格も高額になりやすいです。
代表的な作品や作家には、「女性像(東郷青児)」「風景画(安野光雅)」「風景画(児玉幸雄)」などが挙げられます。
水墨画は墨の濃淡を利用して禅の思想や山水画、人物画などを描く技法、およびその作品です。墨の濃淡やぼかし、にじみやかすれといったさまざまな技法で精神性の高いテーマを表現する水墨画は、墨一色のシンプルなアート作品として海外でも高い人気があります。
水墨画は数多くの有名作家を輩出しており、「誰が描いたか」が高額査定のポイントになります。なかには買取価格が数百万円もする高価な作品も珍しくありません。作者の落款入りの箱や鑑定書があると作品の真贋判定が容易となるため、大切に保存しておきましょう。
代表的な作品や作家には、「達磨大師像(白隠和尚)」「山水図(田能村竹田筆)」「瓢箪に駒図(冷泉為恭)」などが挙げられます。
デッサン画は素描とも呼ばれ、一般的には線のみで構成されているのが特徴で、ほとんど彩色を施さない絵画表現を指します。印象の把握や細部の記録、着想のためのスケッチとして、完成作の細部や全体の構図を明確にするための下書きや習作として制作されることが多いです。
古くから様々な画家が絵画表現の探求のために作成してきましたが、それ自体が完成した一個の芸術作品として扱われるデッサン画も数多くあります。著名な作家の作品の場合は、デッサン画と言えども高額買取が期待できるでしょう。
代表的な作品や作家には、「デッサン(アンリ・マティス)」「コスモス(東郷青児)」などが挙げられます。
ペン画とは、黒インクとペン、マーカーなどを用いて色紙にインクで描かれた作品を指します。
西洋美術の歴史においてペンは最も重要な素描用具の一つであり、古くはアシや鳥の羽軸を材料にしたペン、近年ではマーカーなども用いて作品が描かれることもあります。ペンとインクで描かれた線は鮮明で、質の悪い用紙に描いても明瞭に印刷されることから、商業的な雑誌の挿絵などを描く際にも重宝されてきました。現代ではマンガや劇画をはじめ、イラストレーションやデザイン、設計などでも用いられており、幅広い作家が活用していることが特徴といえます。
代表的な作品や作家には、「とんぼ(山下清)」「蝶(草間彌生)」「猫(藤田嗣治)」などが挙げられます。
静物画は西洋画のジャンルの一つで、花や果物などの自然物、器や楽器、本などの人工物を卓上に配置して描いた作品を指します。風景画や人物画と異なり、作家が描く対象を自由に配置できるのが大きな特徴です。
静物画がジャンルとして生まれたのは17世紀のオランダですが、絵画としての地位を確立したのは19世紀の印象派の画家、セザンヌによるところが大きいとされています。
セザンヌは静物を用いることで「空間と構成物のバランス」を深く追及し、静物自体の美しさより画面構成の美しさを重視しました。当時この考え方は斬新で、のちのフォービスムやキュビスムの画家に大きな影響を与えました。
代表的な作品や作家には、「時 静物画(長谷川潔)」「静物画(岸田劉生)」などが挙げられます。
肖像画とは特定の人物をモデルに描かれた絵画で、ポートレートとも呼ばれます。肖像画の歴史は古代エジプトまでさかのぼり、美術として重要なジャンルに発展したのはルネサンス以降とされています。モデルの人物を写実的に描いたものから極端に美化したもの、意図的に実際の人物と異なる姿で描かれた作品なども多数制作されました。19世紀に写真技術が確立されると、写実することが重要だった肖像画の立ち位置は次第に変わっていき、描かれた人物の個性や内面性を感じさせる作品が良い作品として評価されるようになりました。
代表的な作品や作家には、「婦人肖像(小磯良平)」「横向の肖像(藤田嗣治)」などが挙げられます。
博物画は図鑑絵・図譜・画譜などとも呼ばれ、動物・植物または鉱物などの観察対象の姿を、詳細に記録するために描かれる絵のことを指します。美術における静物画とは違って正確性や科学性が重視されるため、博物学や解剖学の知識を持った学者の指示のもとで作画されることも。
屋外で素早く写生する場合も多く、作画には速乾性のガッシュが用いられ、後にこれを銅版画に起こし、点描で陰影をつけた手彩色も行われました。19世紀に写真が登場した後も、専門家の認識や、写真では出せない説明性・抽象化のために、図鑑などで博物画が用いられ続けています。
代表的な作品や作家には、「犀(アルブレヒト・デューラー)」「水棲動物誌(サルヴィアーニ)」などが挙げられます。
風景画とは山、渓谷、木々、河川、森などの自然の風景のほか、都市、建築などの戸外の景観を描いた絵画を指します。風景画は絵画表現のなかで、人体像と共に、最も主要な対象としてそれぞれの時代・社会の自然観や空間の意識を伝えてくれる絵画といえます。また、東洋でも「山水画」として人気があります。
純粋な風景を描く風景画が一つのジャンルとして確立したのは、17世紀のオランダからとされています。オランダの裕福な市民階級の家屋を飾る絵画として、専門的な風景画家の描く穏やかで身近な風景画が人気を博しました。
代表的な作品や作家には、「渓流(刑部人)」「クーブロンの想い出(カミーユ・コロー)」などが挙げられます。
風俗画はその時代におけるある階層の生活を描写し、日常生活の様々な面を描いた絵画を指します。その表現は当時の人々の生活をありのまま描き出したものから、教訓・寓意・風刺を含んだもの、理想化、あるいは想像されたものまで様々です。親しみ易く、感傷的な主題が多いこともあり、17世紀のオランダではブルジョワ階級や中産階級に人気のあるジャンルでした。
風俗画は現代においても、忘れ去られた時代の文化・生活習慣・社会の様子などを伝えてくれるため、過去の時代を知る貴重な資料として楽しむことができます。
代表的な作品や作家には、「牛乳を注ぐ女(ヨハネス・フェルメール)」「陽気な酒飲み(フランス・ハルス)」などが挙げられます。
印象画(印象派絵画)とはその名の通り、風景や人物など、画家の目に入る映像の「印象」を描き出した絵画を指します。印象派絵画が生まれた当時は、古典や宗教などの幅広い知識を必要とする歴史画が高尚で、現実の世界を描く風景画や風俗画は低いテーマとされていました。それまでは人物の理想像や神話などの主題を描き出す写実主義が主流でしたが、印象派の画家たちは新しい絵画のあり方を追求し、目の前の風景や風俗を描く印象派絵画を生み出しました。
代表的な作品や作家には、「ポプラの木の下で(クロード・モネ)」「ムーラン・ド・ラ・ギャレット(ルノワール)」「りんごとオレンジ(セザンヌ)」などが挙げられます。
日本画とは、明治以後にヨーロッパから入ってきた西洋画に対し、旧来の日本で生まれた絵画全般を指す言葉として生まれました。現在では、和紙や絵絹という絹織物を底材にして、岩絵具、胡紛、染料、墨などの天然絵具を使用し、膠という動物性の接着剤を用いて描かれた絵画が日本画と呼ばれています。さらにその中で、彩色画と水墨画に分けることができます。
画材として紙や絹に絵具や染料で描きますが、金箔や銀箔などの金属材料を用いることがあるのが大きな特徴です。
代表的な作品や作家には、「喜壽双鶴(川合玉堂)」「班猫(竹内栖鳳)」「春日小禽(郷倉千靭)」などが挙げられます。
洋画(西洋画)とは、西洋で発達した画材・技法で描かれた絵画のことです。元々は「日本画」に対する概念として用いられていましたが、現在では油彩画、水彩画、パステル画、鉛筆画、ペン画、銅版画など、多様な洋画の総称として呼ばれています。日本画・東洋画に比べて立体的で写実的に描かれており、洋紙やキャンバスの枠全体に描かれたものが主な特徴といえます。
その歴史は古く、肖像画や写実主義、印象派やポスト印象派など、時代によって様々な名画が生み出されてきました。
代表的な作品や作家には、「メロディーアワー(ルイ・イカール)」「観音岩のみえる海(藤原秀一)」「煌(宮永岳彦)」「雪の小樽(樋口洋)」などが挙げられます。
版画とは、印刷を行うために彫刻や細工を施した版を利用して、インクの転写・透写などによって複数の絵画を制作する技法、およびその絵画を指します。それぞれの版の仕組みによって凸版画、凹版画、平版画、孔版画の4種類に分かれており、さらに版面の種類によって木版画、銅版画、石版画などに分類することができます。
もともとは同一の画像を複数印刷するために用いられてきましたが、それぞれの技法が生み出す独特の質感や効果を狙って制作されることもあり一つのジャンルとして確立した描画手法です。
代表的な作品や作家には、「緑響く(東山魁夷)」「若い猫(加山又造)」などが挙げられます。
リトグラフは版画の一種で別名「石版画」とも呼ばれ、版材に油性の描画材を使って絵柄を描き、その上に科学的な処理を施すことで、絵柄の部分にだけインクを盛って刷る版画技法です。ほかの孔版画、凹版画、凸版画などに比べて作業が複雑で時間もかかりますが、独特のテクスチャや線の強さ、きめ細かさなど、多くの効果が期待できる技法となっています。
版画の一種ですが、版面を彫らず平らなまま印刷していくため色と同じ数だけ版が増え、油絵とはまた違った趣のカラフルな作品に仕上げることが可能です。
代表的な作品や作家には、「ウォーターフォールIII(千住博)」「富士西湖(片岡球子)」などが挙げられます。
シルクスクリーンは孔版印刷の一種です。版に使うメッシュに絹布が使われたことからシルクスクリーンという名が付きました。現在では合成繊維をはじめとする多様な材質が用いられ、金属製のメッシュが用いられることもあります。インクが通過する穴と通過しない箇所のある版を製版し、そこにインクを落とすことで印刷物に描画します。
1960年代以降に芸術の大衆化と共に盛んになった印刷技法ですが、アメリカの作家により芸術の表現方法としても広く知られるようになりました。
代表的な作品や作家には、「Preview(ロバート・ラウシェンバーグ)」「ザ・ニュースピリット(アンディ・ウォーホル)」「Bedroom Face(トム・ウェッセルマン)」などが挙げられます。
現代アート・近代アートとは、現代の社会情勢や社会問題を反映した作品や、社会への問題提起などを、既存の手法にとらわれずに表現した作品のことです。絵画以外にも彫刻などの立体や映像表現など、多種多様なバリエーションがあります。
政治や社会などテーマにしていることが多く、作品のテーマになっている事象に対して詳しい背景を学んでいないと理解するのは難しいとされていますが、見る側が想像力を働かせて、自由に表現された芸術を能動的な解釈で楽しめる作品ともいえます。
代表的な作品や作家には、「TAXI DAY TAXI NIGHT(ジェームス・リジィ)」「かぼちゃ(草間彌生)」などが挙げられます。
浮世絵は、江戸時代に成立した色彩豊かな風俗画のひとつです。江戸時代の初期からその歴史は始まり、当時の日本人の暮らしや流行、活躍した武将や役者などをテーマにした絵画で、庶民層を中心に盛り上がりをみせました。浮世絵の表現技法には「木版画」と「肉筆画」の二種類があり、高価な「肉筆画」は主に富裕層が職人に依頼して描かせたと言います。
また浮世絵は日本のみならず、ヨーロッパに渡ってフランスの印象派の画家たちにも大きな影響を与えました。
代表的な作品や作家には、「大黒騒動図(月岡芳年)」「市川鰕蔵の竹村定之進(東洲斎写楽)」「冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏(葛飾北斎)」などが挙げられます。