「仏画」とは、蓮や蝶などの仏教に関連する絵画や、名号や経文などの「書」を記した掛軸です。崇拝や礼拝の対象として作成され、主に弔事や年忌法要、お彼岸など、ご先祖様を供養する場面で使用されます。お亡くなりになった方への想いが強い場合やお亡くなりになって間もない期間には、宗派に沿った教義の中心になる「書」の掛軸が良いとされています。仏画は、作者が不明な場合でも高価買取になる可能性がある掛軸です。
肉筆浮世絵は、江戸時代から明治時代にかけて描かれた掛軸です。主に、暮らしや流行、風俗などをテーマに描いており、浮世絵師が直筆で描いた浮世絵を「肉筆浮世絵」と呼びます。当時は、富裕層が楽しむために描かれ、誰でも手に入れられるようなものではありませんでした。一点一点直筆で描くため肉筆浮世絵の数は少なく、鑑賞する機会も限られます。そのため、作者が不明な作品でも、貴重さから高価買取につながる場合があります。
山水画とは、山や水、岩石、河川などの自然を題材にした絵画です。実際の風景を描くのではなく、想像した景色を描いたものが多くなっています。山水画のなかには、にじみやぼかしなどの技法を使って描かれた水墨画があります。水墨画は中国の唐代後半に確立され、水墨画で山水画を描いたものを水墨山水画と言います。日本では、鎌倉時代以降に独特の墨の特徴をいかした水墨画の文化が広がりました。
美しい花や鳥をテーマにして描かれたものが花鳥画です。平安時代から描かれることが多くなり、鎌倉時代にはさらに活発に描かれました。蘭、竹、梅、菊を描いた四君子と呼ばれる掛軸や、四季の代表的な花を組み合わせて描いた四季草花と呼ばれる掛軸は、一年中掛けておけます。松、竹、梅を描いた掛軸は、古くから「歳寒の三友」と呼ばれ、めでたい席に掛けることが多いです。また、動物や虫、草木、水生生物など、生物が描かれた掛軸も同じ花鳥画に含まれます。
墨蹟とは、禅宗の僧侶が毛筆で書いた字です。本来は墨で書いた筆跡のことを指しますが、日本では、禅僧の書跡のことを墨蹟と言います。きれいな書体のものよりも、禅僧の気合いが感じられるような趣のある墨蹟のほうが好まれる傾向にあります。掛軸には「書」と「絵画」がありますが、墨蹟は「書」に分類されます。日本でも比較的目にする機会が多い掛軸の一つでもございます。
古筆とは、主に平安時代から鎌倉時代にかけて書かれた和様の名筆です。和様とは、奈良時代から平安時代に貴族文化の中で発展した書の様式で、中国の唐様とは違った日本独自のものになっています。そして、和様のなかの「かな書」が「古筆」とされています。元々は冊子や絵巻として保管されていましたが、「書のお手本として欲しい」という人々の需要が高まり、断簡として売られるようになりました。