みやざき地頭鶏のビジネスモデル

みやざき地頭鶏

「地頭鶏(じとっこ)」は、宮崎と鹿児島の旧島津領で古くから飼育されていた、日本に元々いた在来種の鶏です。その美味しさから農民が地頭職に献上しているうちに「地頭鶏」と呼ばれるようになったと言われています。繁殖が難しく、昭和18年には固定天然記念物に指定を受けました。

その「地頭鶏」を原種鶏として、宮崎県畜産試験場川南支場で交雑種の開発により、2004年に三元交配方式で誕生したのが「みやざき地頭鶏」です。宮崎県が定めた厳しい生産条件を満たした、限られた農家にしか出荷されないため、「みやざき地頭鶏」は数の面でも、品質(味)の面でも、幻の地鶏と呼ばれています。

客単価低の地頭鶏専門店が可能に

APカンパニーでは、このみやざき地頭鶏を、自社養鶏場と13の契約農家から直接購入することで、高品質な地鶏を安く仕入れることに成功しました。それにより、それまでは客単価¥6,000~8,000が当たり前だった地鶏専門店を、客単価¥3,800で展開することが可能になりました。美味しい地鶏を安く食べられることが好評を得て、みやざき地頭鶏の消費拡大・食料自給額の増加にもつながっています。

生産者と飲食店の相乗効果

生産者と飲食店という、これまでは直接会ったこともないような2つの業種間で、月に一度は会議を催し、新規出店予定や、消費者ニーズに合わせて4~5ヶ月後に出荷する羽数を調整しています。以前は育てた鶏を、農協や大手商社に決められた価格で納品していたので、その先のことを意識もしたことがなかった生産者が、時代やマーケットのニーズを知り、エンドユーザーの事を想像することで、単なる農業生産者から、農業経営者に意識を変化させるようになりました。

また、商品そのもののやりとり以外の面でも、年に一度の全社イベントでは東京の会場に生産者も招待し、アルバイトスタッフも含めた全従業員の前で生き物を扱う課程での苦労話や、365日24時間生き物と向き合う大変さ、飼育の段階でどんな工夫をしているのか。愛情を込めて育てた鶏を出荷時に殺すのは辛くないのかなど、店舗スタッフからの質問にも答えてもらっています。

日南市で100人の雇用

自社養鶏場設立、契約農家の増加、鶏をしめて部位別に分ける処理センター・店舗での仕込みを軽減する加工センターの設立、「日南館」という地産地消の店を開店させることで、宮崎日南に、約100人の直接雇用(間接雇用で約200人)が新たに生まれました。第一次産業の活性化が、地域の雇用増加にもつながっています。

生産者と直結事業を開始

宮崎県内の4カ所(日南・日向・都城・小林)でみやざき地頭鶏は育てられています。APカンパニーが日南市で生産者とともに培ってきた「生産者直結」のノウハウを、日向市でも適用。より多くの地域・生産者との直結事業により、日向市の一次産業活性化も目指します。

北海道でもノウハウを応用

宮崎県日南市にて築き上げたノウハウを、日向市だけでなく、新たに北海道の十勝地方にある新得町の「新得地鶏」でも応用させます。地鶏不毛の地ともいわれる北海道で、2006年に新たに生まれた新種の地鶏「新得地鶏」。十勝の広大な自然の中で地元産そばの実を食べ、ストレスなくのびのびと育った新得地鶏は、ムネ肉はしっとり、モモ肉は赤身と味が濃く、程よい歯ごたえが特徴です。2011年6月に設立した自社養鶏場の農場長にはAPカンパニーの新卒2期生が就任するなど、地域に根ざした末長い事業を北海道でも確立します。