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1.死亡診断書を取得する
病院で死亡診断書を発行してもらいます。
病院によって異なりますが、3,000円から10,000円ほどの発行料がかかるので準備しておきましょう。
事故死や突然死のケースでは死因の特定に時間がかかるため、料金も30,000円以上と高額です。
また、この場合は死亡診断書ではなく「死体検案書」となります。
これらの費用は相続税の控除の対象となるので、領収書は大切に保管してください。
2.死亡届を提出する
死亡届は死亡診断書と同じ用紙上にあり、右側が死亡診断書で左側が死亡届です。
死亡届を記入するのは届出人で、親族や後見人・同居している人などが届出人として認められています。
役所に提出するのは代理人でもよく、葬儀社の代行も可能です。
死亡診断書と死亡届は、相続以外にもさまざまな手続きで使うことが多いためコピーを取っておくと安心です。
3.火葬許可証と死体埋葬許可証を取得する
死亡届を役所に提出すると「火葬許可証」が交付されます。
火葬許可証がないと火葬を行うことができません。火葬前に必ず受け取っておきましょう。
一般的には、葬儀社が代行で受け取ってくれることが多いでしょう。
火葬が終わると、火葬許可証に火葬済証明印が押されて「埋葬許可証」になります。
埋葬許可証は、埋葬する墓地の管理者に提出します。
4.年金受給権者死亡届(報告書)を提出する
亡くなった方が年金を受給していた場合は、受給停止手続きを行う必要があります。
手続きは、住民票の所在地にある社会保険事務所や役場で行います。
年金受給権者死亡届(報告書)の提出期限は、厚生年金が死後10日以内、国民保険は死後14日以内です。
提出方法は直接持参するか、郵送でも問題ありません。
また、マイナンバーを日本年金機構に登録している方の場合、届出は不要です。
なお、年金は亡くなった月の分まで、生計をひとつにしていた遺族が受け取れます。
未支給年金がある場合は「未収支給年金請求書」を提出して、給付の請求を行いましょう。
5.介護保険被保険証の返却と介護保険の資格喪失届を提出する
亡くなった方が要介護認定や要支援認定を受けていた場合、または65歳以上の場合は、死後14日以内に介護保険被保険証を返却する必要があります。
返却先は、役場の介護保険窓口です。
この時、介護保険の資格喪失届も一緒に提出しましょう。
この時点で未納分の保険料があると、相続人が支払うことになります。
また、納めすぎた保険料がある場合も相続人に返却されます。
6.世帯主の変更届を提出する
世帯主が亡くなった時には、市区町村役場に世帯主の変更届を提出します。
死後14日以内に行う必要がありますが、世帯に残された方がひとりの場合や次の世帯主になれる方がひとりだけで明確な場合などは、手続きをしなくても問題ありません。
届出人の印鑑と身分証明書を持参して、世帯主変更届に必要事項を記載のうえ、提出しましょう。
7.住民票の抹消届を提出する
住民票の抹消は、死亡届の提出によって自動的に処理されます。
住民票の抹消届の提出期限は死亡した日から14日以内とされていますが、死亡届を提出していれば特に改めて手続きをする必要はありません。
抹消された住民票は「住民票の除票」と呼ばれていて、不動産登記や相続税の申請の際に取得する必要があります。
8.国民健康保険証の返却と埋葬費等の申請を行う
国民健康保険の資格は死亡届を提出すれば翌日に喪失となるので、特に手続きをしなくても問題ありません。
しかし、故人が所有していた国民健康保険証をなるべく早く返却する必要があります。
国民健康保険証は市区町村の保険年金課へ持っていきますが、この時に葬祭費の給付金を申請しておきましょう。
申請期限は2年以内となっています。
忘れないように、国民健康保険証の返却時に済ませておくと安心です。
9.金融機関の口座凍結の連絡をする
死亡届を提出しても、金融機関に連絡をしなければ亡くなった方の口座が凍結されることはありません。
通帳を使って現金を引き出せる状態になっているので、使い込みなどのトラブルが起きる可能性もあります。
亡くなった方の口座にあるお金は相続財産なので、トラブル防止のためにも口座凍結の連絡を行いましょう。
公共料金などが引き落とされるタイミングを考えて凍結すると、支払いが滞らずに済みます。
また、相続放棄や限定承認などの必要がある方は、故人の口座から引き出しを行うと単純承認したとみなされるので注意しましょう。
10.公共料金等の名義変更、解約または返却手続きをする
公共料金引き落とし口座の名義が故人の場合、凍結すると引き落とすことができなくなります。
電気や水道が使えなくなってしまいますので、なるべく早めに契約者の名義を変更しましょう。
携帯電話の解約やクレジットカードの返却なども、併せて行うと安心です。
11.生命保険金の請求を行う
亡くなった方が生命保険に加入していた場合は、保険金の請求を行いましょう。
生命保険金は、3年以内に請求する必要があります。
保険金を葬儀費用にあてる場合は、すぐに保険会社に連絡を入れて手続きを進めておくと安心です。
生命保険金は相続税の算定にもかかわってくるので、財産を調査するタイミングで申請しておきましょう。
12.遺族年金の手続きをする
遺族年金は、残された遺族が受け取れる年金です。
受給の要件はそれぞれ異なるので、厚生年金に加入していた場合は年金事務所へ、国民年金に加入していた場合は役場の年金担当へ相談してみましょう。
遺族年金の申請期限は5年です。
手続きをしてから受給できるまで4ヶ月ほどかかりますので、早めに手続きをしておきましょう。
13.遺言書の有無の調査・検認
遺産相続においては、遺言状の有無が大きな影響を及ぼします。
遺言状には3つの種類があり、それぞれ「公正証書遺言」「秘密証書遺言」「自筆証書遺言」と呼ばれています。
いずれの遺言状も、公証役場と法務局で遺言状があるかどうかの確認が必要です。
「公正証書遺言」があれば、内容を確認することができます。
「秘密証書遺言」と「自筆証書遺言」の場合は、遺言状の有無だけを確認できます。
故人の机の引き出しや親しかった友人に預けていないかなど、心当たりの場所を探してみましょう。
遺言状が見つかったら、家庭裁判所で「検認」してもらう必要があります。
14.相続人(戸籍)調査
相続の手続きを行う際には、亡くなった方の戸籍謄本を収集して、相続人の知らない子どもが存在しないか確認する必要があります。
法定相続人として民法に定められているのは、配偶者と一定の血族です。
法定相続人が誰なのか確定してから手続きを進めないと、また始めからやり直さないといけないという事態にもなりかねません。
相続手続きを始める前に、法定相続人を確定させましょう。
15.故人の財産調査
故人の財産は、プラスの財産だけとは限りません。
借金などのマイナスの財産も残っている可能性があります。
すべての財産を洗い出すことで、正確な遺産の分割や正しい相続税の申告、借金の肩代わりを避けることなどができるようになります。
書類や証書を調べるだけでは限界もあるので、スマホやパソコンなども見てみましょう。
借金や未払い金など「負の財産」が見つかったら、相続放棄や限定承認などを検討する必要があります。
16.遺産分割協議の開始
遺言状の有無と法定相続人の確定、財産調査を経て、遺産分割協議を行います。
一般的には遺言状の内容が尊重されますが、遺言状がない場合には法定相続人全員でどのように遺産を分割するか話し合います。
この時、法定相続人全員の合意が取れずに調停が行われることも珍しくありません。
17.協議不成立の場合、調停・審判
法定相続人全員の合意が取れずに協議が不成立となった場合、遺産分割調停が行われます。
調停では裁判官や調停委員などの第三者が間に入り解決方法を模索しますが、調停でも合意できなかった時には審判(裁判)となり、裁判官が事情聴取などを行って遺産分割方法を決めます。
18.遺産分割協議書の作成
法定相続人全員の意見がまとまれば、「遺産分割協議書」を作成して証書を残します。
遺産分割協議書は法定相続人全員分を作成する必要があり、それぞれ一部ずつ保管します。
相続人全員が署名・捺印をして、印鑑証明書を添付するのが一般的です。
遺産分割協議書は、不動産の相続登記や預貯金の名義変更の際などに必要になるので、大切に保管しておきましょう。
19.預貯金、不動産の名義変更手続き
遺産分割協議書があれば、預貯金や不動産の名義変更手続きを行うことができます。
相続による預貯金や不動産の名義変更は「相続登記」と呼ばれ、相続した財産を守るうえでも重要です。
相続登記に期限はありませんが、遺産分割協議書の作成が完了した時点で手続きをしておくと安心です。
20.高額医療費の請求
高額医療費の請求は、対象者が亡くなった場合にも行うことができます。
高額療養費の支給の対象者には、3ヵ月ほどで役所から高額療養費支給申請書が送付されます。
申請の期間は2年ありますが、高額療養費の還付金は相続税の対象です。
早めに申請しておくようにしましょう。
21.相続放棄または限定承認の申立て
相続の際には、相続人がすべての財産を引き継ぐ「単純承認」のほか、財産を引き継がない「相続放棄」、限定的に財産を引き継ぐ「限定承認」の3つの選択肢があります。
しかし、「相続放棄」と「限定承認」を検討している場合は、3ヵ月を過ぎると放棄できなくなってしまうので注意が必要です。
故人の残した多額の負債を背負い込まないように、財産の調査が長引きそうな時は家庭裁判所に「相続放棄のための申述期間伸長の申立」を行いましょう。
22.準確定申告
相続人は、亡くなった方の代わりに確定申告を行う必要があります。
このことを「準確定申告」と呼び、相続の開始から4ヵ月以内が期限です。
申告が必要なケースは、所得が2,000万円以上ある場合や個人営業の方、不動産や株式を譲渡した場合などです。
また、準確定申告を行うことで還付金を受け取れることもあります。
故人が入院先で多額の医療費を支払っていたり、年末調整を受けていなかったりしないか確認してみましょう。
23.相続税の申告と納税
相続税の申告は、相続開始から10ヵ月以内に行います。
「相続税申告書」を作成して、その他の必要書類と一緒に税務署へ提出しましょう。
また、相続税の納税期限も同じく10ヵ月以内となっています。税務署や郵便局、金融機関などで支払いましょう。
なお、すべての人が相続税の申告をしなければいけないわけではありません。
相続税には「基礎控除」と呼ばれる非課税枠があります。実際は多くの人がこのケースに当てはまり、申告の必要なく相続が行われています。
基礎控除額の計算式は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。
相続する遺産の金額が基礎控除額以内に納まっていれば、申告の必要はありません。
例外として、小規模宅地の特例や配偶者控除などを利用した場合は、相続税がかからなくても申告は必要になる場合があります。
24.遺留分侵害額請求権の手続き
遺言状に「長男にすべての財産を渡す」と書かれていても、法定相続人のうち直系尊属には最低額を「遺留分」として受け取れる権利があります。
財産を受け取ることができなかった人が、財産を引き継いだ人に「遺留分を侵害された」として、最低限の額の支払いを請求するために行使するのが「遺留分侵害額請求権」です。
「遺留分侵害額請求権」を行使できる期間は、相続の開始または遺留分の侵害が判明した日から1年間です。
しかし、相続の開始を知らなかった場合などは、10年以内とされています。