インフルエンザ。今年の流行り傾向と対策

最終更新日:2023/03/15│公開日:2022/12/25

■インフルエンザとは?

インフルエンザとは、気道感染症(急性の呼吸器感染症)であり、インフルエンザウイルスを病原とする疾患です。
喉や鼻などから侵入したインフルエンザウイルスは細胞内で増殖していき、当初1個だったウイルスは8時間後には100個、176時間後には1万個以上、24時間経つと100万個まで増えると考えられています。
増えたウイルスが細胞の外へと出て、また違う細胞に侵入して増殖します。

主な感染経路としては、くしゃみや会話中の飛沫(飛沫感染)が挙げられます。
(感染者から約1~2メートルの範囲内にいる場合、飛沫感染する可能性が高い)
また、飛沫が付着している手指からの接触感染の場合もあります。

通常のかぜと比較すると、全身症状が強く、重症化しやすい傾向があると考えられています。通常、1週間ほどで症状が改善するケースが多いです。
また、通常のかぜよりも感染力が強いという特徴もあります。
毎年世界各地でインフルエンザの流行がおきています。

温帯地域よりも緯度が高いところでは冬に流行がみられるケースが多く、北半球は1~2月、南半球は7~8月が流行のピークになるケースが多いです。
熱帯、亜熱帯地域は、雨季あたりに発生するケースが多いです。

日本におけるインフルエンザの発生は、11月下旬~12月上旬にはじまり、翌年の1~3月に患者が増えてくるケースが多いです。
インフルエンザウイルスには、A型、B型、C型の3タイプあり、一般的にA型とB型が流行します。
A型もしくはB型のインフルエンザウイルスに感染した場合、1~3日間程度の潜伏期間を経てから症状が出現するケースが多いです。
乳幼児や高齢者の場合、肺炎や脳炎等の重篤な疾患を併発する恐れがあり注意が必要と考えられます。

■今年流行しているインフルエンザ

今年の4月末あたりから、南半球にあるオーストラリアでインフルエンザ患者が急増しており、そのうち約8割がA香港型という報告がありました。
2021-2022年、欧米では主にA香港型が流行しており、中国においても今年になりA香港型が増えているという報告もあります。
それらの報告から、今シーズンは日本でもA香港型が流行するのではないかと考えられています。

実際、9月に北海道で3年(3季)ぶりにA香港型インフルエンザウイルスが検出されたと報告されています。
この2年間は日本国内でのインフルエンザの流行がなく、免疫を獲得していない人が増えています。
そのため今シーズンはインフルエンザの早期流行や、新型コロナウイルスとの同時流行が心配されています。渡航などの規制緩和の影響もあり、今年インフルエンザが流行した場合は、重症者などが増える心配もあります。

■インフルエンザの症状

・発熱(38度以上の高熱のケースが多い)
・全身倦怠感
・筋肉痛
・関節痛
・頭痛
・悪寒(寒気)
・せき
・咽頭痛
・鼻水
等が挙げられます。
*インフルエンザは、気管支炎、肺炎等を併発して重症化してしまうケースが多々あるため注意が必要です。

■インフルエンザの検査方法

●インフルエンザ抗原検出キット(迅速抗原検出キット)

鼻の奥に綿棒を挿入し粘膜を採取する検査法です。
綿棒を鼻の奥まで入れてぐりぐりと粘膜を採取するため、多少の痛みと苦しい感じがするケースが多いですが、すぐに採取できるため少しだけ我慢してください。
検査結果は、10~15分で出ます。
検査を受けるタイミングは、発熱してから12~24時間の間です。
その他にも、抗原ELISA法、PCR法、ウイルス分離法等の検査方法が行われる場合があります。

■インフルエンザの治療法

●対症療法
・安静にする
・よく寝る
・水分をこまめに摂取して脱水症状を起こさないようにする
・消化がよくて栄養価が高いものを食べるようにする(タンパク質、ビタミン類等)
等が挙げられます。

●薬剤を用いた治療(病院を受診した際に処方してもらった薬剤を使用する)

・抗インフルエンザウイルス薬
タミフル、リレンザ等の薬剤を使用することで、インフルエンザウイルスの増殖を抑えます。
(その他には、ラピアクタ、イナビル、ゾフザール、オセルタミビル等が使用されます)
抗インフルエンザ薬は、発症後48時間以内に服用することで、症状の早期改善につながると考えられています。(発熱期間の短縮等)

■インフルエンザの予防法

・インフルエンザワクチンを接種する
・外出先から帰宅したあとはすぐに手洗いとうがいを行う
・外出の際はマスクを使用する
・人がたくさん集まっている場所にはできるだけ行かない
・1日3食、栄養バランスのよい食事を摂る
・十分な睡眠時間を確保して疲労やストレスを溜め込まない
・部屋の換気をこまめに行う
・部屋の湿度を50~60%程度に保つ
・部屋の温度を20~22度程度に保つ
・運動する
・必要以上の厚着をしない

等が挙げられます。

*インフルエンザワクチンは、流行開始前の11~12月中に接種することをおすすめします。
特に今年はインフルエンザ流行の心配があるので、早めのワクチン接種が推奨されます。

<参考文献・URL>

国立感染症研究所感染症情報センター インフルエンザとは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/a/flu.html
国立感染症研究所 感染症疫学センター 注目すべき感染症 インフルエンザ
https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-m/flu-idwrc.html
一般社団法人 大宮医師会 インフルエンザ・感染症

インフルエンザ・感染症


一般社団法人 夷隅医師会 一口健康メモ インフルエンザ
http://www.isumi-ishikai.com/memo/mmeo_01.html
一般社団法人 大阪市東淀川区医師会 健康と病気
https://www.higashiyodo-med.org/news3.html
かなや内科クリニック 2022-2023年のインフルエンザの動向について
https://www.kanayacl.jp/influenza2022_doukou.html
市川駅前本田内科クリニック 2022年のインフルエンザ流行予測-大流行・コロナ同時流行はあるのか-
https://honda-naika.net/column/flu_20220925
一般社団法人 日本感染症学会
2022-2023年シーズンのインフルエンザ対策について(一般の方々へ)
https://www.kansensho.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=46
東京都感染症情報センター インフルエンザウイルスの検査法
https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/flu/news/1998-2002/pro/p7/
銀座まいにちクリニック インフルエンザの検査方法について

インフルエンザの検査方法について


厚生労働省 令和4年度インフルエンザQ&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/QA2022.html#Q6

監修者

岡村 信良
岡村 信良内科医/消化器内科
2006年 北里大学大学院卒
2008年 平塚共済病院内科医長を経て小田原銀座クリニックに入職、その後院長に就任
2013年 12月には当院久野銀座クリニックを開業
早期発見、早期治療を心がけ、健康で心豊かな人生を歩んでいただくことを願っており、内科・消化器内科を中心に幅広い情報の発信に努める。

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