もくじ
ノロウイルスとは?
昭和43年に米国オハイオ州ノーウオークという町で発見されたウイルスです。
ノロウイルスは多くの遺伝子型があり、ウイルスを実験的に増やすことができないため、ウイルスを分離して特定するのが困難です。
特に、食品中のウイルスを特定することが難しく、食中毒の原因究明や感染経路の特定を困難にしています。
ノロウイルス感染胃腸炎は一年中発生していますが、特に冬に多い感染症です。
令和3年では、食中毒件数の10%、食中毒患者数の42%がノロウイルスのよるものでした。
よくある原因がこちら
① 汚染されていた二枚貝(牡蠣やアサリなど)を食べた。
② ノロウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒せずに飲んだ。
③ 感染者のふん便や嘔吐物から、人の手を通じて口に入ったり、飛沫から感染。
④ ヒトが多いところで、感染者から飛沫感染。
⑤ 食品を取り扱う人が感染しており、その人が取り扱った食品を食べた。
~①については海水やプランクトンと同じように取り込まれたウイルスが、貝の体内で濃縮されるため、食中毒がおきやすくなります。
後遺症はある?ない? ノロウイルスの症状
嘔吐
下痢
腹痛
軽い発熱
口に入ってから24~48時間後に症状が出はじめます。
普通、症状が出てから1~2日で治り、後遺症などはありません。
ノロウイルスの治療法~薬がない?
このウイルスに対する薬は現在ありません。
水分補給と、食べられるならば栄養分も補給しましょう。
下痢止めは、できるだけ使用しないようにしましょう。
嘔吐や下痢は、有害なモノをカラダの外に出すための生体防御反応だから出来るだけとめてはいけません。
万が一ノロウイルスに感染しても、症状が軽く済むように普段からできることをやっておきましょう。
① 規則正しい生活
② 主食、主菜、副菜のあるバランスのよい食事
③ 野菜を1日350g食べる(そのうち120gは緑黄色野菜で摂る)
④ 免疫力を高めるものを食べる(カマンベールチーズ、フルーツ、ブロッコリー、ジャガイモ、ヨーグルト、オリゴ糖、海藻など)
⑤ 1日1回皮膚がほんのり赤くなるまで日光浴をする(ビタミンDをカラダの中で作るため)
予防法を詳しく教えてください
まな板や包丁、フキンは違う食品を扱うごとに洗剤と流水でよく洗います。
使い終わった調理器具やフキンは、塩素系漂白剤(キッチンハイターやキッチンブリーチ)で消毒しましょう。塩素濃度200ppmで浸すように拭くことでウイルスをやっつけられます。
キッチンハイターならば、500㎖のペットボトルに、そのキャップ半分のハイターをいれるとよいでしょう。作った消毒液は、温度や日光の影響を受けて効果が弱まるので作り置きはできません。
注意したいのは、金属製品です。
塩素系漂白剤で腐食するので、何度も水拭きをしましょう。
手洗いは出かけた先でもこまめに、トイレの後やオムツを交換した後、食事の前なども、指輪などのアクセサリーは外して念入りに、指先や手のシワのところもよく洗いましょう。
爪はいつも短く切っておいたほうが、ウイルスが付着しにくいです。
消毒用エタノールは石鹸と流水による手洗いほどの効果はありません。ノロウイルスの殺菌には効果がないので、あくまで補助的に用いるにとどめましょう。
もし感染したら食事はどうするの?
水分は、白湯1ℓに塩2g、砂糖40gとレモン汁少々をいれたものでも構いません。
市販の経口補水液は、電解質が多くふくまれているのでおすすめです。
嘔吐がおさまったら、すりおろしたリンゴやバナナ、みそ汁から食べ始めましょう。
ゼリー飲料を使用しても構いません。
市販されているカロリー補給用ゼリーは、たんぱく質が多く、ビタミンやミネラルがまんべんなく摂取できるものもあります。
粘膜を強くするビタミンAや、消化時間が1~2時間のホエイたんぱく質(BCAA多め)が入っていてゼリー飲料の中ではおすすめです。
BCAAは免疫を強くしたり、たんぱく質の合成を促したりする働きがあるといわれています。
筋肉以外に、胃粘膜や膵臓、脳などに存在していますから、筋肉だけではなく、胃粘膜の修復にもいいのではないかと考えます。
嘔吐がおさまって2日目は、お粥やうどん、そうめんを軟らかく煮て食べましょう。人参やホウレンソウ、卵、鶏肉、しらす干しなどを入れるとバランスもよくなります。
ヒトは噛むことで、消化吸収の準備が整いますから、基本的にはきちんと固形の食べ物を噛むことが大切です。
注意点としては、食欲がないときは、無理に食べずに様子をみたほうがいいということです。
無理に食べると、嘔吐という行為にたくさんのエネルギーをとられて消耗してしまう場合があります。
<参考文献・URL>
ノロウイルスに関するQ&A 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
花王株式会社|ハイター|薄めた液で拭いてウイルスを除去する方法
https://www.kao.co.jp/haiter/lineup/kitchenhaiter/
BCAAの生理作用とその臨床応用
https://www2.kuh.kumamoto-u.ac.jp/gastro/img/kyouiku_kouen_07.pdf
監修者
- 株式会社 Luce 代表取締役、健康検定協会理事長、臨床栄養協会評議員。山野美容芸術短期大学や服部栄養専門学校にて栄養学の講師を勤める。また、小田原銀座クリニックの栄養顧問など、栄養学・美容学の分野で活動。その他、テレビや雑誌などを通して日常生活に密着した健康知識・栄養情報を発信中。「痩せる時間に食べてみた」「栄養学の○と×」など著書も多数。
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